2012年11月18日日曜日

#17 ゆとり世代


本年ベア―5年目の修士2年渡邉憲太郎です.

【両立】とは改めて困難であり,何をもって【二つが成り立つ】と判断するかは各々の内的管理に依存する.

その塩梅が,自分の場合とても低かったのではないかと最近感じています.
本チームに復帰して早1年,既に最後のリーグ戦が始まり,
研究室でも修士論文や学会の準備へ向けた大学生活の終盤に差し掛かっています.
本来ならば研究室に籠り,夜通し研究をすべき時なのだろうと思いますが,
僕にとってホッケーは生活にメリハリを与え,学業との両立に必要不可欠なものといえます.
修士1年の堕落していた時期とは比べ,研究を真剣に取り組むようになったことから,やはりその効果は出ていると感じることができます.
しかしこの場合,【両方を本気でやる】という前提が【相乗効果】の必要条件であり,どちらかの手を抜けばその効果は望めません.
するとその前提が不可能となった場合,その条件を【緩和する】という選択に陥ることになります.
これが続けば,小さなことにいくらでも達成感を得ることができてしまうのです.

したがって【自分では両立できている,実際は両方全然できていない】という状況ができるわけです.

ここで改めて.
今のベア―の後輩には,留学や国家試験を目指している(実現した)者,ホッケー大学スタートで熊本代表に選ばれた者,商社マンとして新興国開発を目指す者など,
非常に魅力あるメンバーが揃っています.
既に卒業してしまった同期は,外銀および銀行・広告・新聞・飲料メーカー・証券・国立大学院など多種多様な業界・職種に進んでおり,それぞれの領域でプロを目指し優秀な活躍をしています.

彼らをみていると,内的な相対評価から外的な絶対評価に移行し,自分のレベルの低さを実感することができるのです.
そして彼らが皆有する共通項は【目標・向上心・謙虚】が存在するということです.
【ゆとり世代】など,本当にあるのでしょうか.
ぼくはこのままではまったく【がち】ではないわけです.

【無知の知】とは,一生のうちで何度体験できるかわからない非常に貴重な体験だと思います.
したがって,この無知に気づけたことを【修士でベア―】という状況に帰着させ,
修了まで【目標・向上心・謙虚】を念頭に,大学生活を最後の最後まで充実させたいと思います.
後輩,OBOGの方々,そして同期には迷惑をおかけすると思いますが,今後とも何卒,よろしくお願いい致します.

次は,熊本代表入りした光平くん!よろしくお願いします.



慶應義塾大学大学院 理工学研究科
開放環境科学専攻 修士2年
渡邉憲太郎


Appendixs
「現在のメンバーには理系が0」であることと自分の専攻が高分子材料であることを踏まえ,以下にホッケー用具の材料的な解説を記述しておきます.参考までに.(中には【予想】のものも含まれます.)


1)スケート エッジ:
【ステンレス】が使用.ステンレスとは,金属酸化を防止するためにCrやNiを混合し,合金化した素材.日本刀も同じ原理で製造(方法自体は異なる).焼き討ち(入水)することで表面と内部の結晶構造を変え,より長寿命化が実現.アイスホッケーでは一般的に【研磨】をするため,その際に生じる微小な傷や凹凸に水が侵入し,錆が生じることがある.また,近年アルミニウム(ステンレスより軽量な金属)を複合化したり,カーボンコーティング(ブラックエッジ)したりすることでより軽量でかつより丈夫なエッジが開発されている.

2)スケート ホルダー:
Webでは【強化プラスティック】と記述されていることが多い.適度な柔軟性もあることから,おそらく【ナイロン系樹脂】が使用され,結晶化度が非常に高くなっていると考えられます.結晶とは,分子が綺麗に配列したものであり,結晶部分が多くなると耐熱性や力学物性が上昇します.(一般的にホルダーが白色なのはこの「結晶」のため.透明なホルダーが壊れやすいのは結晶が少ないため.)

3)スケート 本体:
・本体側面には【ケブラー】と呼ばれるアラミド繊維と,それをつなぎとめる【熱可塑性樹脂】(熱をかけると溶けるプラスティック)が使用されています.ケブラーは,防弾チョッキにも利用されている耐衝撃性の高い材料であり,熱をかけても融解せず,酸にも溶媒にも溶解することはありません.そのため,オーブンでスケートが変形するのはケブラーではなく,その隙間に充填された熱可塑性樹脂が変形していることになります.またその熱可塑性樹脂の多くは,氷上という過酷環境下で利用可能な【ポリウレタン】という材料が主に利用されていると予想できます.ポリウレタンはゴム材料に近く,0℃付近でも脆化しません(普通のプラスティックは,温度が低下すると脆くなってしまいます.ガムと氷を一緒に食べるとガムが硬くなるのと同じ現象).また,水の侵入を防ぐ効果も持っています.

・また,靴底には近年非常に注目を浴びている【炭素繊維強化プラスティック(CFRP)】が利用されています.これは,本体側部と異なり,非常に硬質な材料であることがわかります.CFRPとは,「鉄よりも硬く,アルミより軽い」炭素繊維と,ポリアミドと呼ばれる熱硬化性プラスティック(熱をかけると固まるプラスティック)の混合体です(だからオーブンでも靴底は変形しません).ケブラーと異なり耐衝撃性は少ないものの,非常に軽量で高硬度を有する材料です.そのため,あらゆるスポーツ用品にも応用され,さらには炭素繊維の配列の仕方や炭素繊維の含有量を変化させることで飛行機や自動車の機体への応用が実現しています.(スティックやブレードの値段が異なるのはこのため.繊維の織り方が特殊で,かつ炭素繊維の含有量が多いと,より薄く軽量な者ができるが,値段はそれに比例する.)

4) ヘルメット:
表面には【ABS樹脂】(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)が使用.ABS樹脂は,スケートの先にも使用されています.内面には【ウレタンフォーム(発泡剤)】が用いられており,頭部への衝撃を緩和してくれます.良いヘルメット程,ウレタンフォームは硬くなります.(弱い衝撃の場合,衝撃吸収材は軟らかい方が威力を発揮し,強い衝撃の場合は衝撃吸収材は硬い方が威力を発揮します.これは,軟らかい材料に急激な力を即座に負荷することで硬い材料へと一時的に変化し,逆に直に頭に衝撃を与えてしまうからです.100 mから水に飛び降りるのと一緒.)バイザーには高透明性かつ高強度を有する【アクリル樹脂】が用いられています.(メガネのレンズや水族館の水槽にも使用されています).



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